東野圭吾を2冊 [本]
今最新文庫本の「殺人の門」を読んでいます。
その前に2冊読み終えているのでその感想を。
まずはこれ。
2人の手記により進んでいく、かわった形のお話。
最初の手記は事件の第一発見者によるもの。
そこに書かれたものがすべて真実であると信じて疑わず読み進めていきます。
次の手記はその第一発見者のかつての職場の後輩であり今は刑事となっている人によるもの。
最初の手記が第一発見者によるものだったせいか、その人目線で読み進めてしまいました。
それがひとつの罠でした。
その罠を刑事が次々と見破っていきます。
鮮やかなまでに。
何が真実で何が虚像なのか。
真実だと思っていたことが実は嘘だった。
と思ったら真実だった。
そんなどんでん返しがたくさん。
殺害してしまってからその動機を創り上げる。
でも用意周到に計画はしてある。
自分の過去の秘密を知られない為に。
過去の小さな親切大きなお世話から来る劣等感の為に。
自分の同じ夢を叶えてしまったという嫉妬の為に。
そんな悪意を持ったまま人生を終えたくないと殺害を実行する。
やり遂げてどこかホッとしている人がいました。
次はこれ。
図でトリックを説明してくれています。
とてもわかりやすい。
先生が主人公で先生目線で書かれています。
命を狙われる主人公。
目の前で人が殺される。
本当は自分が殺されるはずだった。
考えるだけで恐ろしいです。
でも主人公は狙われたふりをさせられていただけ。
犯人の目的は先生にはありません。
先生に意識を向けさせて真の目的を隠す為。
この人が犯人だ、と思ってた人は脅されて仕方なく片棒を担がされていただけ。
そのことがわかってからは何となく犯人がわかりました。
でもまさか共犯がいたとは。
このお話の動機も意外でした。
心を痛めてしまうことではありましたが自殺しよう、人を殺してしまおう、という発想につながっていくのは私には理解できません。
気が動転して状況がわからなくなっていろんなものを見失ってしまうんだろうな。
そこでお話が終わらないのがまたまた意外。
主人公がこのお話に便乗した妻に殺されかけます。
助かったのかどうかはわかりません。
襲われたところで終わっているので主人公の行く末はわかりません。
普通に、平凡に生きてるつもりでもどこで恨みをかっているかわからない。
2作ともそんな怖さを思い知らされました。
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